失業保険の受給期間中に、内緒でしていたアルバイトがバレてしまうとどうなるのでしょうか。
結論から申し上げますと、アルバイトをした日数分あとに持ち越されます。それでは、詳しくみていきましょう。
失業保険を受給しているときのアルバイトの扱いとは?
そもそも、失業認定申請書はどのように書けばよいのでしょうか。ここでは、正しい書き方や失業保険の受給期間中に内緒でアルバイトをした場合の扱いなどについて、詳しく解説していきます。
失業認定申請書の正しい書き方は?
基本手当を受けるには、4週間に1回、失業認定日にハローワークで失業保険の認定を受ける必要があります。ここではその際に提出する失業認定申請書の書き方を説明します。
失業認定申請書のカレンダー部分は「就職または就労した日」 には〇印を、「内職又は手伝いをした日」には✖印をつけるようになっています。それぞれの仕事の内容は以下のとおりです。
就職または就労した日(〇印)に該当するケース
就職または就労した日に該当するケースは下記のとおりです。
- 会社に採用され、就職した(試用・見習い・講習・研修期間を含む)
- 自営業を始めた(準備を含む)
- 会社の役員や委託になった
- パートやアルバイトをした
- 日雇い労働者として働いた
内職または手伝いをした日(✖印)に該当するケース
内職または手伝いをした日に該当するケースは下記のとおりです。
- 原則として1日の労働時間が4時間未満のもの(内職、他人の仕事の手助け、ボランティア活動など)
失業保険を受給しているときのアルバイトの扱いは?
アルバイトをした日数はあとに持ち越されます。
短期間の就職または就労をした日(失業認定申請書に〇印)は、失業の状態ではないので基本手当はもらえませんが、その日の分の就業手当を受給できる場合があります。また、受給できないときは、支給残日数は減らさず、受給期間内であればあとに持ち越されます。
また、内職や手伝い等で収入や謝礼終えた日(✖印)は、その収入の額により基本手当が減額して支給される場合があります。
1日分の収入から1294円(令和1年8月改定:毎年8月1日に見直し)を引いた額と基本手当の日額の合計額を出し、以下のように区分されます。
- 合計額が賃金日額の80%以下の場合は減額されない
- 合計額が賃金日額の80%を超える場合は、超えた額(超過額)を基本手当の日額から差し引く
- 超過額が基本手当の日額以上の場合は全額支給されない(支給されない日数は後に持ち越される)
なお、株や不動産を売って得た収入や預貯金の利子などは、ここでいう収入に含まれません。
失業認定には求職活動の実績が必要?
基本手当は、失業認定日にハローワークで失業の認定を受けてから振り込まれます。失業の認定を受けるためには、原則として、前回の認定日から今回の認定日前日までの間に2回以上の求職活動を行っていることが必要で、その具体的な内容を、失業認定申請書の「3」欄に書き入れます。
ただし、認定対象期間中に就職や就労をした日がある場合は、その日は就職活動をしたとみなされます。
また、次のいずれかに該当する場合は、求職活動は1回以上あれば足りるものとされます。
- 受給資格者が、心身障害者など、就職が困難な者である場合
- 基本手当の支給に係る最初の失業認定日における認定対象期間(待機期間を除く)である場合
- 算定対象期間の日数が14日未満である場合
- 求人への応募(応募書類の郵送、筆記試験の受験、面接を含む)
- 巡回職業相談所における失業の認定、又は市区町村長の取次による失業の認定を行う場合
なお、自己都合等の退職など、待機期間終了後に3ヶ月の給付制限がかかる場合には、失業給付制限満了後の最初の失業認定日までに、つまり、給付制限期間と初回認定対象期間とを合わせた期間中に、3回以上の求職活動を行うことが必要となります。
求職活動として認められるものとは?
求職活動として認められるのは、下記の5つです。
- 求人への応募(応募書類の郵送、筆記試験の受験、面接を含む)
- ハローワークが行う職業相談、職業紹介等を受けたこと。各種講習、セミナーの受講
- 有料・無料の民間職業紹介機関、労働者派遣期間が行う職業相談、職業紹介等など、求職活動方法等を指導するセミナーなどの受講
- 公的機関等(雇用能力開発機構、高年齢者雇用開発協会、地方自治体、求人情報提供会社、新聞社等)が行う職業相談などを受けたこと。個別相談が可能な企業説明会の受講、参加
- 再就職に役立つ各種国家試験、検定等の資格試験の受験
したがって、単に新聞やインターネットで求人情報を閲覧した場合や知人への仕事の紹介を依頼しただけでは求職活動として認められません。
なお、ハローワークの紹介窓口で「求職活動計画」(計画的な求職活動への支援が必要と認められた人に交付される計画書)の対象になっている人はこれに沿った求職活動実績が必要です。
また、ハローワークの指示・推薦により公共職業訓練等を受講している間や、求人への応募の採否通知を待っている間などは、求職活動実績を必要としない場合があります。
注意!偽った申請をすると不正受給になる?
失業認定申請書には、ありのままを記入しなければなりません。記入する内容はあくまで自己申告ですから、応募先企業の証明などは求められていませんが、ハローワークでは提出された失業認定申請書のうち一定の割合について、応募先企業に求職活動の事実確認を行っています。
事実と反する求職活動実績を記載すると不正受給となり、以後、基本手当を受けられなくなるほか、不正に受けた金額の返還命令プラス、2倍の金額の給付命令(3倍返し)の処分が課せられます。
失業保険の不正受給とみなされるケースとは?
それでは、失業保険の不正受給とみなされる具体的なケースについてみていきましょう。
- 就職や就労したことを申請しなかった場合(パート、アルバイト、日雇いなどを含む。試用期間や研修期間で収入がない場合も申告が必要)
- 就職日や求職活動の実績を偽って申告した場合
- 内職や手伝いをしたこと、また、それによって収入があったことを申告しなかった場合
- 自営(保険代理店などを含む)を始めたこと、会社の役員(名義だけを含む)や非常勤嘱託、顧問に就任した事を申告しなかった場合
- 健康保険の傷病手当金や労災保険の休業補償給付の支給を受けたこと、また、受けようとすること(重複して給付は受けられない)
- その他、就職できる状態でなくなったこと
- 失業の認定を他人に受けさせたり、偽造や改ざんした証明書や診断書を提出した場合
さいごに
失業保険を受給している場合に、アルバイトや他の手段で金銭を得ることもあるでしょう。そのような場合は、早めにお近くのハローワークに相談することをおすすめします。
そもそも、基本手当を受給するためには申請が必要ですので、手続き時にハローワークの担当者に事前確認することが重要です。
最後に、失業保険の不正受給はしないように注意しましょう。
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