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【おすすめ】ビジネス戦略の立案と分析で欠かせないフレームワーク

【おすすめ】ビジネス戦略の立案と分析で欠かせないフレームワーク

こんにちは!
これまでに10年以上もの間、一部上場企業の飲食店で経営に携わってきた愛Tソリューションです。
売上げの昨年対比200%超えを達成したノウハウと、店舗の売上げアップに活用してきたビジネス戦略と分析に関するフレームワークをご紹介していきます。

この記事は、
「ビジネスで売上げや実績をアップさせるための分析法やフレームワークについて知りたい」
「ビジネス戦略において、どんなフレームワークを活用すればよい?」
と疑問を持った方におすすめです。

この記事「【おすすめ】ビジネス戦略の立案と分析で欠かせないフレームワーク」を読めば、

「ビジネスで売上げを伸ばすためのフレームワークの特徴と使い方」
「ビジネスで結果を出すための分析法とフレームワークの選び方」

以上の2つが理解できます。
本記事は、2019年4月9日に公開した記事に下記項目を追記したものです。

それでは早速、みていきましょう。

 ビジネスとは自社と顧客との関係性、そして競合を含めた外部の影響という3つの要素で成り立っています。事業を成長させるには、この3つの要素を把握した上で具体的な行動目標を立てる必要があります。

 とはいえ、ただ課題を抽出してアイディアを並べるだけでは、具体的な行動どころか方向性さえ定まりません。そこで役に立つのが、フレームワークです。今回は、数あるフレームワークの中でも実用性の高いものをピックアップしてご紹介します。
 自社の現状、顧客との関係性、そして競合を含めた外部環境の3つに分類して見ていきましょう。

自社の現状把握と改善に役立つフレームワーク4選

ここでは、自社の現状を把握し、改善するために役立つフレームワークをご紹介していきます。

PDCA

 業務の効率化や、品質のブラッシュアップなどに役立つフレームワークです。Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)という4つのプロセスを回すことで、継続的に改善を進める手法です。より大きな成果を出す、あるいは同じ失敗をくり返さないことを目的とする場合に使われます。

各プロセスにおけるポイントをまとめましたので、参考にしてください。

Plan(計画)

 目的とゴールを設定するプロセスです。タスクと期限の他に、役割分担や優先順位などの決定も含まれます。ここでの取り決めが曖昧だと、後のプロセスで混乱することになります。ポイントは、それぞれの進捗を可視化できるようにまとめることです。

Do(実行)

 読んで字のごとく、計画に沿って実行するプロセスです。ここでのポイントは、後で振り返りができるように記録をしておくことです。記憶に頼るのではなく、具体的に数値化するなどの工夫があると、後のプロセスに役立ちます。

Check(評価)

 ここでは、計画と実行のプロセスを照らし合わせながら進捗状況を確認します。大切なのは、すべてのタスクが終了するのを待つのではなく、定期的に行うことです。良い方向に進んでいるなら、その要因を早く突き止めることでさらに大きな成果が期待できます。仮に思わしくない状況だったとしても、問題を早期に発見できれば損失を最小限に食い止めることもできるのです。

 評価を行う際には、感情を持ち込まないことも重要なポイントです。何が良かったのか、あるいは悪かったのか。事実を客観的に評価することができれば、課題の本質を見逃さすこともありません。

Action(改善)

 評価に基づき、「さらに成果を上げるにはどうするか」、課題があるなら「いかにしてクリアするか」を考えて次のサイクルへとつなげて改善していきます。場合によっては、ここで計画の中止や変更の判断を下すこともあるでしょう。

「今さらPDCA?もう古いんじゃない?」といった意見を聞くこともありますが、ビジネスにおいてはもっとも基本的、かつ実践的なフレームワークです。これが使えなければ、他のフレームワークを使いこなすことなどできない、と言っても過言ではありません。

7S分析

 このフレームワーク(7S分析)は、企業を構成する7つの経営資源を可視化する際に用います。主に経営陣の意思を伝達し浸透させること、それを支える仕組みづくりを目的とした場合に有効的です。

 世界的なコンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーが開発したもので、7つの経営資源は「ソフトの4S」「ハードの3S」に分類されます。では具体的にどんなものが挙げられているのか、順に見ていきましょう。

ソフトの4S

ハードの3S

 これら7つのバランスを見ながら、活かすべき強みと補完すべきポイントを抽出していきます。このフレームワークを使うときに重要なのは、優先順位です。一般的に、経営陣の意思とプランがあれば変更が容易な「ハードの3S」に対し、価値観や個々の生活環境まで反映される「ソフトの4S」は変更が難しいとされています。

 そう言われると、どうしても変更が容易な「ハードの3S」から手を付けたくなるものですが、これらはあくまで組織の仕組み、あるいはそれを支える要素です。組織は人的要素から大きな影響を受けるものですから、やはり「ソフトの4S」から手を付けるべきでしょう。

ロジックツリー

 問題を引き起こす原因、あるいは課題に対する解決策を導き出すときに役立つのが、ロジックツリーです。一つひとつの問題を論理的に分解していくことで、短期的な対策、中期的な対策を分けて考えられるメリットがあります。

 どこまで掘り下げるかは問題の大きさにもよりますが、的確な分析を行うには5階層以上まで分解することが必要とされています。トヨタ自動車では「なぜなぜ分析」と呼ばれていますが、やはり「なぜ」を5回くり返すことを推奨しています。
 この「なぜなぜ分析」は一般的に「Whyツリー」と呼ばれており、他には「Howツリー」もあります。展開の仕方はどちらも同じですが、原因の追究に使うのが「Whyツリー」具体的な解決策を探るのが「Howツリー」です。

 情報共有もしやすく整理のしやすいフレームワークですが、油断をすると本題から外れてしまう恐れもあります。たとえば下図のように製品の価格を下げるべきかといった課題からスタートしたのに、気が付けば問題が個々のスキルへとすり替わってしまうようなケース。

 これを防ぐには、抽象的な言葉を使わないこと、感情や感覚ではなく事実をピックアップすることです。いかに具体的な言葉で表現するかが、的確な分析につながるカギと言えるでしょう。

意思決定マトリクス

 抱えている問題の解決策など、複数の選択肢を評価する際に役立つのが「意思決定マトリクス」です。

 ビジネスの重要な場面で適切な判断を下すには、客観的な視点が欠かせません。自分では手に負えないケガや病気をしたときに、病院でドクターの診察を受けるのと同じです。何が原因なのか、どこから手を付けるべきか、どの程度の措置が必要なのかを整理することで、状況に合わせた選択肢を取ることができます。

 事例を見ながら、活用する際の手順を確認していきましょう。

選択肢(評価対象)のリストアップ

 事例では「集客力アップ」をテーマに設定します。まずは考えられる対策・アイディアをリストアップしていきます。

各項目に対する重要度の設定

 次に、リストアップした選択肢に対する評価項目と重要度の設定を行います。「重要度」とは、それぞれを点数化するための比重です。ここでは、評価項目を「実現性」・「緊急性」・「収益性」・「将来性」の4つに設定します。

各項目の評価

 それぞれを点数化し、評価をしていきます。すべての項目に対して評価を終えたら合計値を算出し、その結果によってどの選択肢を取るか、あるいは優先順位を決定します。事例では5点満点の評価としましたが、これは決定する内容や選択肢の数に合わせて自由に設定してください。

 このフレームワークを使う最大のメリットは、定量的な評価ができるという点です。数値化することで客観性が高まり、意思決定のスピードを早めることができます。問題の解決だけでなく、新しいアイディアの評価や、複数の業務に対する優先順位の決定などにも活用できます。

 ただし、合計点数だけでは大局的な判断ができないこともあります。上記の例でいえば、「集客用ツール」のようなケースです。一見すると合計点数が低いため、優先順位を下げてしまいがちですが「将来性」の評価項目では最高の評価がなされています。つまり、「将来性」を考えるのであれば優先すべき選択肢である、ということです。テーマ次第ですが、各評価項目の点数を軽視しないことも重要です。

マーケティング戦略に必須のフレームワーク4選

ここでは、マーケティング戦略に必須のフレームワークをご紹介していきます。

STP分析

 Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字を取って名付けられた、マーケティング戦略の土台をつくるフレームワークです。フィリップ・コトラーが提唱したことで知られており、事業規模や業界にかかわらず多くの企業で採用されています。

セグメンテーション

 ひと言でいうなら、市場の細分化です。年齢や性別などの他、居住エリア、世帯収入、価値観など様々な指標で顧客を分類して市場の概況やトレンドを把握するプロセスです。

ターゲティング

 セグメンテーションを行った上で、狙うべきターゲットの絞り込みを行います。ターゲットとなる人物像を具体的にイメージすることで、事業・商品コンセプトが明確になります。

ポジショニング

 このプロセスでは、競合との位置関係を明確にすることが求められます。価格や品質、提供する価値の違いはどこにあるか。市場における優位性を探り出すことができれば、それを活かして一定の市場を確保することは難しくありません。
 ただ注意したいのは、ニッチな市場を意識し過ぎないことです。ターゲットが限定されていれば、確かに競合は少なくなるかもしれません。ですが、そもそもターゲットの分母が少ない場合、顧客を集めるまでに膨大な労力とコストがかかります。場合によっては、市場そのものが存在しないケースもあります。
 独自のポジション、ニッチな市場を選ぶのはセオリーですが、前提となるのは利益が確保できる市場規模であることです。

4P分析

 これもマーケティング戦略の立案と実行に欠かせないフレームワークの1つです。Product(製品)・Price(価格)・Place(販路)・Promotion(プロモーション)という4つの要素と市場を結びつけることで、取るべき戦略や方向性を具体的な行動レベルまで落とし込むことができます。

Product(製品)

 品質やデザインだけでなく、保証やパッケージング、アフターサービスまでをも含め「顧客に提供できる価値は何か」を突き詰めます。これによって競合他社との差別化、優位性を生かしたポジションの確保が現実となります。

Price(価格)

 価格を分析する上で重要なのは、「いくらで売るか」ではなく「いくらなら購入してくれるか」です。シェアの確保を目的とするなら低価格、価値の向上を図るなら高価格となりますが、いずれにしても根底には「顧客の視点」が求められます。

Place(販路)

 流通経路を含め「販売する場所」を決定するプロセスです。物理的な地域の選択だけでなく、オフラインで販売するのか、それともオンライン上で展開するのかといった点も重要なキーワードです。顧客に製品を届ける手段、と言った方が分かりやすいかもしれません。

Promotion(プロモーション)

 ここでは、顧客に認知してもらうためのメディアを選択します。大きく分けるとテレビCMや雑誌広告などに代表されるマス広告と、DMやテレビ通販などのダイレクト広告の2択となります。加えて「どのようなメッセージを届けるか」によっても費用対効果は大きく変動します。
 なかには、それぞれの分析を別の部署で行う企業もあります。しかしその場合には、全体で見たときに整合性が取れない恐れが出てきます。製品とマーケティング戦略のミスマッチを防ぐためにも、プロジェクトチームを組むなど一定のメンバーで進める方が成果に繋がるでしょう。

AISASの法則

 商品の認知から購入に至るまでのプロセスを検証する「AIDMAの法則」から派生したフレームワークです。

Attention(注目・認知)→Interest(興味)→Desire(欲求)Memory(記憶)→Action(行動)
という一連のプロセスを、インターネットが普及した現在の市場構造に当てはめて考えたのが「AISASの法則」です。具体的には、
Attention(注目・認知)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(行動)→Share(共有)
という流れになります。

 インターネットが普及し、SNSをはじめとする様々なコミュニケーションツールが登場したことで、それまでにはなかった検索と共有のプロセスが加わりました。多くの口コミサイトが存在することからも分かるように、今後は検索されること、そして消費者同士が情報を共有することを前提に戦略を立てる必要があります。
 SEOに力を注ぐ企業、口コミサイトによるプロモーションを行う企業が増えたのも、こうした背景があるためです。顧客からの声、市場にある生の声を拾うことができれば、それぞれのプロセスにおける有効的なコミュニケーション方法、プロモーション手法を導き出すことができます。逆にインターネットで集めた情報に頼ると、方向性を見失う可能性が高くなるのは間違いありません。

パーチェスファネル

 顧客が商品・サービスを認知してから成約に至るまでの流れを図化したもので、「AIDMAの法則」から派生したフレームワークです。

 見込み客の獲得から成約までの流れを可視化することで、それぞれのプロセスに必要なマーケティング施策が明確になります。ちなみにパーチェス(Purchase)=購買、ファネル(Fannel)=じょうごという意味で、商品やサービスを認知した見込み客の数が、成約のプロセスへ向かうにつれて減少していく様子をじょうごの形(逆三角形)に見立てたものです。

 それがどんな商品であれ、顧客は

「商品を認知し」→「興味・関心を持ち」→「商品の詳細を調べ」→「欲しいと思うようになり」→「購入する」

というプロセスをたどります。マーケティングの役割は、一人でも多くの顧客を次のプロセスへ進めることですが、どの時点でどの程度の顧客が脱落するかを把握し、具体的な施策やかけるべきコストを決めていきます。上の図の右側は、マーケティング施策の一例です。見込み客を次のプロセスへ進めるためのアクションは、商品やターゲット層、かけられるコストによって異なります。

 ここでひとつ注意したいのが、「数字」にこだわり過ぎないことです。顧客を獲得するには、労力とコストがかかることも意識しなければなりません。獲得件数も大事ですが、利益が伴わなければ意味がない、ということです。

 また、一連のプロセスを「成約」で終わらせないことも重要です。特に少子高齢化によるマーケット縮小の影響が大きい業種の場合は、リピート購入や口コミなどによる紹介がビジネスを成長させるカギとなります。

外部環境の分析に役立つフレームワーク4選

ここでは、外部環境の分析に役立つフレームワークをご紹介していきます。

3C分析

 Customer(市場・顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の頭文字から名づけられた3C分析は、それぞれの関係性と環境分析を行う際に多用されます。シンプルで分かりやすく、製品単位の分析にも使えるフレームワークです。

市場・顧客の変化

 まず市場・顧客のニーズに変化はないか、自社との関係性だけでなく経済や技術革新の影響なども含めて分析する必要があります。これを把握しないまま自社や競合の環境分析を進めても、意味がないからです。他には少子高齢化による市場規模の動向、またはIT技術の発達による購買環境の変化なども加味するべきでしょう。

競合分析

 次に進めるのは競合分析です。売上高や利益率などビジネスの成果もそうですが、なぜその結果につながったのか、その要因まで追求することで自社の取るべき戦略も見えてきます。

自社分析

 市場・顧客の変化や動向を見極め、競合の外部環境まで把握できれば、あとは戦うステージを選ぶだけです。自社のリソースと照らし合わせ、優位性や選択するべきターゲット、市場において目指すべきポジションも自ずと見えてくるはずです。

SWOT分析

 有名なフレームワークですから、使わずとも一度くらいは目にしたことがあるのではないでしょうか。ちなみにSWOTとは、Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)という4つの要素を表しています。自社の現状と取り巻く環境をプラス面とマイナス面に分けて考えることでブランド力や品質の向上、マーケティング戦略の構築、経営資源の最適化などにつなげる役割を果たします。

Strength(自社の強み)

 他社と比較した際の優位性という意味でもありますが、本質は「顧客がうちの会社(製品)を選ぶのはなぜか」という問いの中にあります。自社の強みとは、言い換えれば「顧客に選ばれる理由」だからです。今後の戦略を立てる上で、ここに挙げられた内容が重要になってくるのは言うまでもありません。

Weakness(自社の弱み)

 競合と比べたときに足りないものを知ることも、戦略を立てる上では大切です。しかし忘れてはならないのが、弱みは「視点を変えれば強みにもなり得る」ということ。例えば競合と比較して「価格が高くなる」のが弱みだとしても、それには理由があるはずです。仮に品質を維持するコストが原因だとすれば、顧客にとっては「安心・安全」を提供することにもなります。多角的な視点を持つことで、様々なアプローチができるのです。

Opportunity(機会)

 この段階では、市場の変化や競合の動向から自社のチャンスにつながる要素を見つけ出します。さらに経済動向や政治から受ける影響まで考慮して分析すると、より長期的な戦略を立てることができます。

Threat(脅威)

 自社の強みが効力を失う外部環境の変化、または他社の動向を洗い出します。直接競合だけでなく、間接競合から受ける脅威も忘れてはならない要素です。例えば自動車メーカーなら、同じ自動車メーカーの他に鉄道や旅客機、船舶に関連する企業の動向も視野に入れなければなりません。

 このフレームワークを使って成果を出すポイントは、目的を明確にすることです。「事業を成功させるには何が必要か」といった大雑把なテーマで進めると、軸がぶれて内容がまとまりません。また、客観的な視点を持たないと希望的な要素ばかりが挙げられ、実行プランが現実にそぐわないものとなります。

ファイブフォース分析

 「競争の戦略」で知られるマイケル・ポーターが提唱した業界分析の手法です。買い手の交渉力・売り手の交渉力・直接競合との関係・新規参入の脅威・代替品の脅威という5つの要素を分析することで、業界の収益構造や競争の要因を的確に把握することができます。
 単独で使われることは少なく、4P分析3C分析と併せて用いることで新規参入あるいは撤退の判断にも使われます。

買い手の交渉力

 顧客の力が強い、または需要と供給のバランスが悪ければ結果的に収益性は低いと判断できます。一般的に、購入手段を含めた買い手の選択肢が多いほど、業界の収益性は下がります。

売り手の交渉力

 部品や原材料などサブプライヤー(供給業者)の交渉力も、収益性に影響を与えます。これはサブプライヤーの業界におけるシェア、そして代替品の有無によっても左右されます。

直接競合との関係

 当然ですが、競合の数や現状のシェアによって収益性は変動します。また、差別化の難易度や撤退障壁の高さも収益性に影響します。

新規参入の脅威

 いわゆる「参入障壁の高さ」ですが、これをどう捉えるかによって解釈は変わります。競合が増加すれば収益性は悪化しますが、参入障壁の低さは機会に反比例します。チャンスがある、とも言えるのです。どちらの可能性が強いかは、業界の成長性や市場規模と照らし合わせて判断するしかありません。

代替品の脅威

 間接競合から受ける影響です。コンパクトカメラに対するスマートフォン、鉄道に対する航空機などをイメージすると分かりやすいかもしれません。利便性やコスト面で負けると、業界全体の収益性に大きく影響します。

 このフレームワークを使うことで自社の強み、そして想定できる脅威を再認識することができます。ただ認識しておきたいのは、捉え方次第で強みは弱みに、脅威は機会になるという点です。そのためには売り手や買い手、競合他社からの視点が欠かせません。

PEST分析

 中長期的な視点で外部環境の変化を把握、または予測し、トレンドに合わせた経営戦略を立てるためのフレームワークです。マーケティング界の世界的権威であり、経営学者のフィリップ・コトラー博士によって提唱されました。

 外部環境をPolitics(政治的要因)、Economy(経済的要因)、Society(社会的要因)、Technology(技術的要因)という4つの視点で分析する手法です。まずは、それぞれの要因について解説していきます。

Politics(政治的要因)

 法改正や新たな規制の導入など、行政によるルールの変更が市場へ及ぼす要因です。政権交代や外交の成果が与える市場の変化も、ここに含まれます。

Economy(経済的要因)

 景気動向や経済成長などが市場へ与える影響を指します。BtoCの事業では個人所得の変化、海外との取引が中心の企業においては為替相場の変動も大きな要因となります。当然、株価や金利による影響も考えなければなりません。

Society(社会的要因)

 代表的なものに、マーケット構造に影響を与える人口変動が挙げられます。他には流行や習慣、価値観の変化、教育スタイルの移り変わりなどの要因も含まれます。

Technology(技術的要因)

 技術革新が市場競争に与える影響です。特に、日々進化を遂げているAI技術による影響は今後ますます拡大するでしょう。

 他のフレームワーク、例えば市場動向や競合の状況といったミクロ環境を分析する「ファイブフォース分析」などと組み合わせて活用することで、より具体的な戦略を立てることができます。

 ポイントとなるのは、「事実」と「解釈」を分けて考えることです。「こうである」という事実と、「こうであろう」という解釈を混同すると方向性を見失うことになります。数年先を見据えた仮説を立てる場合にも、裏付けとなる根拠をそろえることでリスクを抑えることができます。

アイディアの抽出に使えるフレームワーク5選

ここでは、アイディアの抽出に活用できるフレームワークをご紹介していきます。

マンダラート

 3×3マスの中心にテーマを置き、放射線状にアイディアを広げていく思考法です。デザイナーの今泉浩晃氏が考案したもので、仏教の「曼陀羅」がモチーフとなっています。

「大テーマ」→「小テーマ」→「具体的なアイディア」といった具合に、発想を広げながらアイディアを整理するのに便利なフレームワークです。

 まずは8つの小テーマへとアイディアを広げていき、さらにそれぞれの小テーマから具体的なアイディアを8つのマスへ書き出していきます。すべてのマスを埋めることで、強制的にアイディアをしぼり出すのが目的です。

 頭の中にある言葉にならないアイディアを可視化できるのが、このフレームワークの強みです。時間を短く設定して取り組むと、思わぬアイディアを絞りだすこともできます。

マインドマップ

 マインドマップは、頭の中にあるアイディアや情報を整理するのに役立つばかりでなく、チームの意見をまとめたり、ブレインストーミングの議事録などにも活用できます。

 中心にテーマを置き、木の枝葉を伸ばすイメージでアイディアやインプットされた情報を広げながら情報を整理していきます。自身のみならず、第三者にも直観的に内容が理解できるのは大きなメリットです。

 有名なだけに、様々な手法が解説されているフレームワークでもあります。しかし書き方にとらわれてしまうと、本来の目的である「頭の中の整理」ができません。大切なのは、「自分のやりやすい書き方」で進めることです。

オズボーンのチェックリスト

 その名が示す通り、ブレインストーミングの考案者でもある、アレックス・F・オズボーンによって開発されました。

 アイディアを強制的に引き出すという点においてはマンダラートに近いものがありますが、あらかじめ用意された9つの質問(チェックリスト)に答えることで意外な発想を導くことができる、という特徴があります。

9つのチェックリスト

 多角的な視点からアイディアを抽出できるのは、大きなメリットです。しかし、1人では多くのアイディアを出すのに限界を感じることもあるでしょう。そうした場合は、チームで取り組むとより多くのアイディアを確保できます。

ブレインライティング

 これは、アイディアを「書いて」出し合うブレインストーミング手法です。参加者が同時にアウトプットできるため、短時間でアイディアを抽出できます。また、発案や発言の苦手な方でも参加しやすい、発言者が偏らない、お互い初対面のチームでも意見を出しやすいなどのメリットもあります。

ブレインライティングの進め方

① テーマを記入した「ブレインライティングシート」を用意する(1人1枚)

② 1行目に各自のアイディアを書き込む

③ シートを回し、1行目に書かれた内容をヒントに新たなアイディアを書き込む

④ シートが埋まるまで③のプロセスをくり返す

 ブレインストーミング同様、他人の意見を否定せず、連想して展開するとアイディアも広がります。立場や経験値の差などによる意見の偏りをなくすことができますので、アイディアの量を重視する場合には大いに役立つでしょう。使用したシートは、まとめてファイルしておくと「アイディア帳」として活用できます。

5W1H

 誰しも一度は耳にしたことのある、有名なフレームワークのひとつです。アイディアの抽出だけでなく、課題の発見やマーケティングプロセスの構築など、実に様々な意思決定に用いられます。Who(誰が)・When(いつ)・Where(どこで)・What(何を)・Why(なぜ)・How(どのように)という6つの要素を組み立てることで、具体性や実現性を追究することができます。学生時代に、文章の作成法として習った方も多いのではないでしょうか。

 5W1Hを活用するうえでのポイントは、目的やシーンに合わせて順序を変えることです。例えば、報告書の作成などでは

【When(いつ)→Where(どこで)→Who(誰が)→What(何を)→How(どのように)→Why(なぜ)】

という順に組み立てるのが一般的です。しかし、目的がマーケティングプロセスの構築なら、

  1. Why(目的は何か)
  2. Who(ターゲットは誰か)
  3. What(何を販売するか)
  4. When(販売時期はどうするか)
  5. Where(販売チャネルはどうするか)
  6. How(どんなプロモーションを展開するか)

といった順に考えた方が情報を整理できます。仮にWhat(何を売るか)からスタートしてしまうと、顧客目線を無視したプロモーションとなり、成果を出すのは難しくなるでしょう。「絶対的な正解」はありませんが、目的に合わせて順序を入れ替えることで情報も整理しやすく、適切なアイディアを選択できます。

ビジネスモデルの構築に役立つフレームワーク3選

ここでは、ビジネスモデルの構築に活用できるフレームワークをご紹介していきます。

共感マップ

 「誰に」・「何を提供し」・「どう利益を上げるのか」というビジネスモデルの土台づくりに役立つのが、この「共感マップ」です。単なるリサーチではなく、共感できるレベルまで理解することで、顧客が本当に必要としているものが見えてきます。

使い方は実にシンプルで、上の図にある吹き出しの部分

を埋めていき、顧客の真のニーズを引き出します。このフレームワークを使いこなす、ビジネスモデルの土台を確立するポイントは、顧客の1日が想像できるようになるまで掘り下げることです。それには「多くの人に買って欲しい」という気持ちを捨て、どれだけターゲット層を絞れるかがカギとなります。

9セルフレームワーク

 「誰に」・「何を」・「どのように提供するか」というビジネスモデルの骨格を、9つの質問に答えながら構築するためのフレームワークです。新規事業や新商品のアイディアだけでなく、既存事業の見直しにも活用できます。

 客観的な評価ができるフレームワークですが、質問の範囲外にアイディアが及ばないという欠点もあります。多角的なアイディアが必要な場合には、「マンダラート」や「オズボーンのチェックリスト」などのアイディアフレームワークと組み合わせて使うのがおすすめです。

ビジネスモデルキャンバス

 「ビジネスモデルキャンバス」は、複雑なビジネスモデルの整理や収益構造の把握、改善点のリストアップなどに役立ちます。また、全体像を直観的に理解できるので、新規事業や新商品開発のプレゼンテーションにも使える便利なフレームワークです。

 1枚の紙にビジネスを構成する9つの要素を網羅されており、「価値提案」を中心に右側へ「マーケティング要素」、左側に「経営資源に関する要素」を配置して進めます。

 複数人でのワーク形式にも対応でき、新たなアイディアを盛り込みながらビジネスモデルを構築できるという利点がある一方で、「価値提案」と「顧客セグメント」にズレがある場合には収拾がつかなくなります。まずは「共感マップ」などを使って、ビジネスモデルの土台を固めてから取り組むのが賢明といえるでしょう。

人材育成と組織マネジメントに活用できるフレームワーク5選

ここでは、人材育成と組織管理に活用できるフレームワークをご紹介していきます。

MVV

MVVとはMission(ミッション)・Vision(ビジョン)・Value(バリュー)の頭文字を取ったもので、企業の存在意義や方向性などを共有するためのツールです。

 それぞれを明確にすることで組織の求心力を高めると共に、考え方や目指す方向性、判断基準の統一が期待できます。ただしボリュームがあると浸透しづらく、抽象的な表現では伝わりません。よりシンプルで、具体的な表現にするのがポイントです。3つの要素をまとめて「経営理念」、あるいは「コンセプト」と表現している企業もあります。

Will Can Must

 自己分析やキャリアビジョンの整理に使われることも多いですが、リーダーとして組織やチームのベクトルを合わせたいときにも活用できます。

 Will(やりたいこと)・Can(できること)・Must(やるべきこと)の3要素が重なる部分を抽出することで、組織の目指すべき方向性やアクションに統一性を持たせられます。新規事業の立ち上げや、組織としての短期的な目標設定に役立つフレームワークです。

 Will・Can・Mustの中心にあるものこそ、軸がブレそうになったとき、判断に迷ったときの指針となるものです。組織やチームで活用する場合には、定期的な確認や見直しも必要になります。

タックマンモデル

 アメリカの心理学者ブルース・タックマンが提唱した理論で、チームビルディングのプロセスを5つのフェーズに分け、それぞれにおけるリーダーのあるべき姿を解説したものです。まずは5つのフェーズと全体像を見ていきましょう。

 次に、自分率いるチームが現在どのフェーズにあるのか、リーダーとしてどのような役割を果たすべきなのか、具体的な行動プランを定めていきます。

 チームがどのフェーズにあるのかを把握し、チームを俯瞰することですることで、より具体的で効果的な行動プランがリストアップできます。

GROWモデル

 これは、スポーツ選手の目標設定やメンタル強化などに使われているコーチングの手法を応用したものです。スタッフの主体性を引き出し、目標達成や自己実現へと向かうプロセスを可視化することができます。GROWとは「成長する・育む」という意味ですが、コーチングに使われる5つのプロセス

【Grow(目標設定)→Reality(現状把握)→Resource(資源の発見)→Options(選択肢の創出)→Will(意思確認)】

の頭文字でもあります。

 それぞれのプロセスにおいて、メンバーもしくはチームへ質問を投げかけることで、目標達成までのプロセスを明確に認識させることができます。

 指示や提案をするのではなく、相手から答えを引き出すことで能動的な行動につながります。ポイントは、チームやメンバーと、目標に向かって並走するイメージで取り組むことです。

カッツモデル

 ハーバード大学の経営学者、ロバート・カッツが提唱した理論で、ビジネスに必要なスキルを3つに分類し、それぞれの割合と役職との関係性を追求したものです。ここで取り上げられているビジネススキルは、

テクニカルスキル・・・業務を遂行するにあたり必要な知識や技術

ヒューマンスキル・・・ビジネスにおける人間関係を構築する能力

コンセプチュアルスキル・・・周囲の状況、課題や問題の本質を捉える技術

の3つです。

 管理職にもポジションがありますが、それぞれの立場に応じて求められるスキルは異なります。新任管理職(ロワーマネジメント)には現場を直接指導するためのテクニカルスキル、そして立場が経営者(トップマネジメント)に近づくほど高度なコンセプチュアルスキルが重視されます。

 注目すべき点は、すべてのマネジメント層において同等に必要とされている「ヒューマンスキル」です。経営において「良好な対人関係」は欠かせません。営業活動にしろ、組織づくりにしろ、一定の「ヒューマンスキル」があってこそ成立するものです。そうした点をいかに言語化できるかが、このフレームワークの効力を左右するポイントとなるでしょう。

まとめ

 最後に、今回ご紹介したのは、どれも基本的でよく使われるフレームワークです。決して難しいものではありませんので、まずは使ってみることをおすすめします。ただ注意したいのは「多角的な視点がなければ方向性を見失う」ということです。
 これはどの業界、どんな製品にも言えることですが、相手の視点からスタートしなければ自社の本当の姿は見えてきません。優先すべきは「顧客視点」であり、これは希望的観測に流されて戦略を間違えないためでもあります。フレームワークはあくまでツールであり、答えそのものではありません。それさえ意識していれば、これまで見えなかった課題も見つけることができ、事業の成長にも役立つはずです。

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