「看護師がやってはいけないことに注射があるって本当?」
「注射業務の正しい解釈を知りたい」
今、本記事を読んでいる方は上記のような思いを抱えているのではないでしょうか。
看護師として業務をするなかで、看護師としてやっていいこととやってはいけないことがあることは分かるが、新卒指導をするときに注射はしてもよいのか実際に聞かれてどのように答えるか迷った経験があるため、そう思う気持ち分かります。
看護師がやってはいけない注射業務はあるのか、正しい解釈について知りたいですよね。
そこで本記事では、
- 看護師がやってはいけないことは間違いだらけ、注射業務の正しい見解
- 看護師がやってはいけないことと勘違いされやすい静脈注射について
について解説します。
ぜひ、参考にしてください。
看護師がやってはいけないことは間違いだらけ!注射業務の正しい見解
日々業務するなかで看護師がやってよいこと、やってはいけないことについて曖昧なまま仕事しているということはありませんか。
とくに、注射については注射の方法がさまざまあり、やってよいことややってはいけないことについて混乱することもあるでしょう。
そこで、ここでは注射業務の正しい見解について解説していきます。
看護師ができる医療行為について考えたときに、看護師の仕事は法律上「療養上の世話」「診療の補助」と定められています。
注射業務は、「診療の補助」に含まれるため、注射業務は医師の指示のもと、おこなってもよい業務とされるでしょう。
注射業務には、主に4種類あります。
下記にまとめました。
- 皮下注射
- 皮内注射
- 筋肉注射
- 静脈注射
上記について詳しくみていきましょう。
皮下注射
皮下注射は、皮膚の下に薬剤を注射することです。
ゆっくりと体内に吸収されていくという特徴があります。
皮内注射
皮内注射とは表皮と皮下組織の間に位置する真皮への表面的な注射です。
注射の中では効果があらわれるまでにもっとも時間がかかり、治療ではなく、特定の薬物に対する反応をチェックするのが目的のことがほとんどです。
筋肉注射
筋肉注射とは、薬剤を直接筋肉に注射することをいいます。
薬剤が容易に確実に末梢血管に吸収されていくため、皮下注射の約2倍の速さで効果が現れるといわれています。
静脈注射
静脈注射とは、静脈に直接水分や薬物、栄養素等を投与する注射の方法です。
注射のなかでは最も早く効果が現れます。
上記の注射は、医師の指示があれば看護師がおこなうことが可能です。
動脈注射については、医師がしなければならないと考えている看護師もいることでしょう。
動脈注射は静脈注射に比べさらに複雑で危険をともなうことから、医師がおこなうことが望ましいと考えているなどさまざまな医療者がいるためです。
しかし、動脈注射については医師がおこなわなければならないと定められているものはありません。
実際に法律上は看護師もおこなうことができます。
ところが、実際に病院で動脈注射はいまだに医師がおこなっているところもあることも現状です。
先ほども解説したように動脈注射については複雑でやはり危険がともない、知識や技術が必要だからです。
そこで、2015年から特定行為に定められるようになりました。
特定行為とは看護師が行う医療行為のうち、実践的な理解力、思考力および判断力、高度かつ専門的な知識、技能が特に必要とされるものとして定められた38の行為をいいます。
38の行為についてそれぞれの特定行為の研修を受け、看護師でも自信を持ってその行為を実施できる状態に育成する制度です。
動脈注射もこの特定行為の38行為に含まれるようになりました。
今までも医師の指示があれば動脈注射をおこなうことは違法行為ではありませんでした。
特定行為の研修を受けることで、医師の業務軽減につながったり看護師でも自信を持って動脈注射ができるようになったということです。
いままで解説してきたとおり、看護師の注射業務は違法行為ではなく、医師の指示のもとであれば実施することが可能です。
知識や技術を磨き自信を持って注射業務をおこなうことができるようになることが大切でしょう。
看護師がやってはいけないことと勘違いされやすい静脈注射について解説
なぜ、静脈注射や動脈注射は看護師がやってはいけないことと勘違いされやすいのでしょうか。
静脈注射や動脈注射は、手技が複雑といわれ、皮下注射、皮内注射、筋肉注射と比べると、患者へのリスクが高いためだと考えられます。
静脈注射は、静脈の中に直接薬剤を注入することになります。
そのため失敗することでさまざまなリスクが発生することになるでしょう。
例えば、血管外漏出するリスクです。
注射のために入った針が血管外に出てしまい、薬剤が漏れでてしまう状態です。
薬剤のなかには漏れ出ると、周りの組織の炎症や壊死を引き起こすものもあります。
漏れ出てしまった場合は、出来るだけ薬剤を引き出したり、冷やしたり温めたりの処置が必要になることもあるでしょう。
また、神経を損傷してしまうリスクもあります。
注射することにより神経を損傷してしまうと、最悪の場合しびれやピリピリとした痛みが後遺症として残ってしまうこともあります。
神経に触れていないかなど、確認をしていくことが大切です。
看護師の動脈注射は、動脈採血や頭骨動脈ラインの確保をおこなうことが主となるでしょう。
動脈注射もおこなうことはリスクを伴います。
例えば、血管のなかの血の塊が直接脳にとんでしまい、脳梗塞を引き起こすリスクがあります。
また、動脈に穿刺した場合、静脈穿刺と比べ止血がしにくいです。
止血を怠ると大量出血や血腫が発生するリスクがあります。
上記のように、静脈注射や動脈注射は患者に対しリスクが高い傾向にあるため、看護師がやってはいけないことと勘違いされがちです。
しかし、法律上静脈注射や動脈注射はおこなってはいけないということはありません。
看護師もおこなうことは可能です。
看護師として静脈注射や動脈注射をするときには薬剤が血管外に出ていることに気づけることや神経を損傷していないか、神経症状、止血などの観察力やその後の処置を迅速にできる技術などが必要です。
自信をもっておこなうことができるよう注射の手技を改めて見直してみたり、特定行為の研修を受けることが大切となるでしょう。
さいごに
今回は、看護師がやってはいけないことは間違いだらけ、注射業務の正しい見解、看護師がやってはいけないことと勘違いされやすい静脈注射について解説してきました。
ここまでで、看護師がやってはいけない注射業務の正しい解釈について詳しく知ることができたかと思います。
看護師がおこなってよい医療業務は法律で定められており、定められていることにしたがって業務をしていく必要があります。
本記事が、今一度看護師がやってはいけないことについて見直し、安全、安心に仕事をおこなっていくことの参考になれば幸いです。
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